第6話 脳ミソが楽しんでるかんじ。

菅野 これは、舞台美術?
鈴野 そうです。演劇作家の岡田利規さん率いるチェルフィッチュという劇団の新作です。
菅野 ほんとに様々だね。
鈴野 岡田さんは、今注目の演劇作家で、有名な賞もとられている方です。今回の新作「フリータイム」は、ファミレスが舞台なんです。
菅野 うんうん。
鈴野 チェルフィッチュの演劇は、動きを多用した抽象的な舞台なので、あまり具体的なセットをつくってしまうと、演劇の内容を制限してしまうことになると思ったんです。
菅野 なるほど。
鈴野 そこで、ファミレスの床を50cm高くして、そのラインで家具の足を切ることを提案しました。そうすることで、テーブルの上も舞台として使えるようになり、ファミレスという空間を抽象的に表現できます。
菅野 はぁー、なるほど。
鈴野 出来上がってみると、舞台に立っている役者が、まるでふわふわと宙に浮いているみたいで、とても抽象的な存在になって。岡田さんにも気に入ってもらえました。
菅野 この案がまとまるまで、どのくらいの時間がかかりました?
鈴野 ミーティングを2回くらいしたかな。岡田さんはとてもおもしろい方なので、打ち合わせ中は、脳ミソが楽しんでいるかんじでした。
菅野 あぁ、楽しいねぇ。
鈴野 あんな風に、お互いにインスピレーションを受けながら、ひとつのモノをつくり上げていくというのは楽しいです。今後もやりたいことですね。
第1話 事務所を立ち上げる予定はなかった。
第2話 建築もインテリアも、同じように周囲の環境から影響を受ける。
第3話 サンプルをつくって実験してみる。
第4話 奥行きのある物語性を持たせたい。
第5話 一番大変だったのは、型枠職人です。
第6話 脳ミソが楽しんでるかんじ。
第7話 この年代は優秀な人が多い。